矯正治療中に起こりやすいトラブルと対処法
歯の矯正は治療期間が長く、1~3年程度かかるのが一般的です。そのため、どんなに気をつけていても、矯正装置が外れる等のトラブルが起きてしまうことがあります。その日に治療に来る予定なら問題ありませんが、さまざまな事情からすぐに来院することが難しいケースもあるかもしれません。そのため、治療中に問題が生じたときにどのようにしたらよいのかを、ご自身でしっかりと把握しておくことが大切です。
「名古屋ステーション歯科・矯正歯科」によくお問い合わせのある、矯正治療中に起こりやすいトラブルとその対処法についてご紹介します。
マルチブラケット法による治療中のトラブル
trouble01矯正装置が外れてしまった
矯正装置は最終的には撤去するため、歯に負担をかけないようにあえて弱い接着剤を使用しています。そのため、歯列矯正中に装置が外れてしまうことも珍しくありません。装置が外れた場合は、すぐに当院までご連絡ください。場所によっては次の予約の際でも問題がない場合もありますし、早急に付け直したほうが良い場合もあります。
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ブラケットが外れた場合
もし、ブラケットが外れてしまった場合、そのままお持ちください。ワイヤーについたまま浮いているようならば、無理に外さなくても大丈夫です。なお、外れてしまった装置は、破損していなければ再度装着できる可能性がありますので小袋などに入れてご持参ください。
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ワイヤーが外れた場合
ワイヤーに負荷がかかるとブラケットから抜けたり、ずれたりすることがあります。ご自身で元の位置に戻すのは難しく、変形の原因になるためおすすめできません。ワイヤーが外れていると、歯が動かないので早めにご来院ください。
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なお、ブラケットから抜けてしまうとワイヤーが頬に刺さり、痛みの原因になります。先端をワックスで覆う、またはワックスでブラケットに固定する等の応急処置をすると良いです。
trouble02治療中の歯の痛みが気になる
個人差がありますが、歯が動くときに痛みを伴うことがあります。痛み止めを処方しますので、我慢をせずに担当医に相談してください。
trouble03奥のワイヤーが刺さって痛い
矯正治療が順調に進むと、余ったワイヤーが後方へ出てくることがあります。あらかじめワイヤーの端を曲げておくことができれば頬に刺さりませんが、口腔内にスペースがないと事前の処置ができません。そのような場合は、刺さって痛みを感じる部分をカットする必要がありますので「ワイヤーが刺さって痛い」という旨を当院までご連絡ください。
trouble04ワイヤーを結んでいる線が刺さって痛い
歯を動かすための太いワイヤーを、結紮線(けっさつせん)という細いワイヤーで固定することがあります。治療直後は結び目の部分を太いワイヤーの下に折り込んでいますが、食事をしたり、歯ブラシが引っかかったりすると、まれに結び目が出てきてしまいます。結び目が目視できる場所にある場合は、爪楊枝の裏側などで舌や唇に当たらない位置に折り込んであげると痛みが改善されるはずです。対応が難しい場合はご来院ください。
trouble05歯がしみる
矯正治療で歯を動かすと、一時的ではありますが知覚過敏になり歯がしみることがあります。しかし、2~3日程度で治ることがほとんどです。気になる場合は、知覚過敏などに効果があるといわれている歯磨き剤などを使用することで予防が可能です。
trouble06口内炎ができてしまった
矯正装置をつけていると、舌や頬に口内炎ができてしまうことがあります。これは、慣れない作業などをしたときに手のひらにマメができるのと同じ感覚です。口腔内が矯正装置に慣れてくれば、口内炎ができにくくなってきますので安心してください。最初の1ヶ月くらいは、口内炎ができやすいかもしれません。ワックスといった粘土のような材料で矯正装置をカバーしてあげると、口内炎に装置が当たらず比較的楽に過ごせると思います。
trouble07リテーナーが壊れた・なくなってしまった・使用後の臭いが気になる
保定装置「リテーナー」は2年前後使用することが多いため、その間に破損してしまったり、紛失してしまったりということがありえます。矯正治療終了からあまり時間が経過していない場合、リテーナーを使用しない時間が長いと、歯が動いて後戻りしてしまう可能性があります。そのため、できるだけ早くリテーナーを修理または作り直すようにしましょう。マウスピース型の場合は、簡単に複製ができるので来院せずに郵送で解決できる可能性があります。
使用後の装置の臭いが気になる方は市販のリテーナー洗浄剤をご使用ください。
trouble08食事がしづらくてつらい
矯正治療が始まると、食事がしづらいと感じる方がいらっしゃいます。お口の中の環境が大きく変わっているので、食事の仕方にも少し工夫が必要です。しばらくの間は固いものや噛みごたえのある食べ物は、小さく切ったり、柔らかくしたりすると良いでしょう。
また、咬み合わせも日々変化しているため、今までは咬めていたところで咬めなくなるかもしれません。次第に慣れてくるかとは思いますが、どうしても気になる場合はご相談ください。
trouble09歯茎が腫れた
矯正装置をつけているとブラッシングが難しくなるため、汚れが残って歯ぐきが炎症を起こしてしまうことがあります。歯茎の腫れを防ぐため、矯正装置と歯ぐきのすき間を丁寧に磨くようにしましょう。正しいケアをしていれば、数日で腫れは収まるはずです。痛みを伴い、歯ブラシを当てることすら難しい場合はご相談ください。
マウスピース法による治療中のトラブル
trouble01マウスピースが壊れてしまった
マウスピースが壊れてしまった場合、壊れた破片も一緒に歯科医院へ持っていくようにしましょう。破損の状況によって修理可能なケースと、作り直す必要があるケースがあります。(破片が見つからない場合は、残った部分だけでも大丈夫です)
なお、壊れたマウスピースは使用せず、水につけた状態でご持参ください。
trouble02マウスピースを紛失してしまった
マウスピースを紛失してしまった場合は応急措置ができないため、早急に作り直す必要があります。歯の位置が戻ってしまう前に、早めの受診をおすすめします。
クリアリテーナーをご使用の患者様は、以前にお渡ししているものを使って頂いても大丈夫です。
矯正治療中に気をつけたほうが良いこと
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表側矯正
・前歯で噛み切ったり、噛みちぎったりするとトラブルの原因になります。特に、固いものを食べるときは、小さめにカットして奥歯で噛むようにしましょう。
・矯正装置を指や舌で触ると故障の原因になるので、極力触らないようにしてください。
・矯正装置をつけていると汚れが溜まりやすく、ブラッシングがしにくいです。汚れが残っていると歯ぐきが炎症を起こすため、こまめに歯磨きをするようにしましょう。歯磨き粉は使用せず、鏡を見ながら汚れが落ちたと感じるまで丁寧にブラッシングをするのがおすすめです。 -
裏側矯正
・矯正装置を指や舌で触ると故障の原因になるので、極力触らないようにしてください。
・固いものや、ガム・キャラメルなどのくっつきやすい食べ物は装置が壊れる原因になります。固いものはあらかじめ小さくカットしておき、奥歯で食べるようにしましょう。また、くっつきやすいものは避けてください。 -
保定中
・リテーナーを使わずに過ごしていると、治療前の状態に後戻りして再治療になることがあります。必ず毎日、できれば終日使うようにしてください。歯並びが安定するまでは油断しないようにしましょう。
・外しているときは、壊れたり紛失したりしないよう「リテーナーケース」で保管してください。
・食事の際はリテーナーを外してください。つけたまま食事をすると、破損する可能性があります。
・歯磨きの際はリテーナーを外し、リテーナーも水で洗って歯ブラシで磨くようにしましょう。
・リテーナーは、歯や歯肉に密着させた状態で使用してください。浮いていると、歯が後戻りしてしまうことがあります。 -
・マラソンや水泳などの激しい運動の際は、リテーナーを外すようにしてください。
・ペットなどにプレートタイプリテーナーをかじられないように気をつけましょう。
・リテーナーは診療の際にチェックしますので、忘れずにご持参ください。